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2010年12月

2010年12月31日 (金)

雪をなめない、自己責任

今日は長崎も一面雪です。道路も滑るだろうという時に車で外出、停車時に追突されても文句は言えません。交通事故で受傷した患者さんはよく救急車を使って来院されます。中には救急車を降りた後、歩いて救急室まで来院される猛者もいらっしゃいます。救急車も無料ではなく税金であることを認識して頂きたいと、こんな時は心の中で思います。

雪の日に車で出かける際、こういう自己責任を伴う訳です。追突した側の事故責任を問う前に追突された側も考えて欲しいのですが。。。
雪に慣れていない九州人は雪をなめている人が多いのでしょう。チェーンつけず、スノータイヤでもなく運転する側の責任、救急車にとっても警察にとっても救急病院にとっても迷惑な話です。今日、明日は雪による事故、転倒多いでしょう。1か月後に慢性硬膜下血腫の患者が増えそうな、、、そんな気がする大晦日です。

そういう私も夜が明けたら博多までJR、駅から空港までは地下鉄かタクシー、空港から無事に目的地へ行けるんだろうか?と不安な気持ちで当直しています。

読んで頂いた皆さん、よいお年をお迎えください。来年もネット上でつぶやいていきますので時間が許せばお立ち寄りください。

2010年12月16日 (木)

呼吸器停止、抜管できぬ日本

前回の記事に引き続きです。心拍が再開して意識や自発呼吸が戻らない場合、日本の法律上、呼吸器の停止や、気管チューブの抜管が出来ません。だからこそ、呼吸器を装着するかどうかは慎重に決定しないといけません。

それに対して米国では出来ます。蘇生は望まないという意思が確認できた場合、病棟から緩和ケア病棟に移動し家族の前で医師が呼吸器を止め、気管に入っている管を抜きます。米国の場合ICUでの治療となりますと医療費が高くなり畑を売らないと返せないという事情がありますから、社会主義国 日本にそのまま当てはめて考えるのは無理があります。

拙ブログマイアミの青い空にその辺の事情は書いておりますので読んで頂ければ幸いです。脳卒中病棟から緩和ケア病棟への移動が早過ぎるのでは?と日本人の感覚では驚く症例も経験しましたし、緩和ケアへ移動し抜管した後で復活してきた症例もありました。http://blog.livedoor.jp/onizukam/archives/389542.html

2010年12月15日 (水)

心肺停止状態時の対応

日本人の平均寿命を過ぎた高齢者が突然、心肺停止状態になった時、気管内挿管、人工呼吸器、心マッサージ等どこまで蘇生をすべきか?と考えることがあります。もしかしたら無駄な事をしているのではないかと。家族は希望しても本人はどうなんだろうか?日本人は何歳まで生きるつもりなのか?日本は医療に関しては社会主義国家であり、医療費は税金でほとんどは賄われていますから医療費にも限度があって当然で、医療費の無駄がないか考えるのは至極当り前です。

入院時に家族にもしもの対応について話をすることがあるのですが、ほとんどの方は決断できません。今まで真剣に考えたことがない方が多いでしょうから当然と言えば当然でしょうね。下記のような書類を主治医から渡されたらどうでしょうか?

<心肺停止状態時の対応について>

ご高齢の方や、大きな病気を患った患者さんは、ある日突然、心臓と呼吸が止まった状態(心肺停止状態)で発見される可能性があります。

一度心肺停止状態に陥ると、蘇生(再び心臓が動き始める)に成功する可能性は高くはありません。また、蘇生に成功した場合であっても、元どおりに元気になる可能性は、残念ながら、一般的にはかなり低いといわざるを得ません。つまり、蘇生に成功した場合であっても、障害が残ったり、寝た切りになってしまう人のほうが、元どおり元気になる人よりもずっと多いということです。

1、心肺蘇生法を希望する。
 心臓マッサージや人工呼吸を行います。かなり強い刺激を与え続ける必要があることから、肋骨骨折などの傷害・損傷を患者さんに与えてしまう可能性があります。


2、蘇生は行わない(DNAR:do not attempt resuscitation)
 心肺停止状態となった患者さんに対して心肺蘇生術を行わず、そのままお看取りをします。主治医が不在となる夜間帯は、当直医が死亡確認の手続を行います。

3、今は決められない

決めた決定を取り消したり変更するのは、何時でも可能です。また、DNARを受け入れたからといって、通常の治療(抗生物質投与など)を行わなくなる訳ではありません。

主治医 △x○●

平成  年  月  日
本人: 
家族:            (続柄         )
               (続柄        
     
          (続柄          )
     
         (続柄          )

2010年12月14日 (火)

進行性の脳梗塞

発症時は軽い麻痺症状でも入院後に麻痺が増悪するケースがあり、昨日は血管撮影を緊急に夕方から施行しました。例えば左内頚動脈が徐々に進行して閉塞していくとすると自然のバイパスが働いて左脳に血液を送り込みます。前交通動脈、後交通動脈、反対側の前大脳動脈、左の外頸動脈から左の眼動脈を介して、胎生期の遺残血管を介して等、いろんなバイパスが頑張って血行を補うのです。

今日のケースは血管撮影後に抗凝固療法としてヘパリン持続静注、ノルアドレナリンを用いて血圧を上げる(昇圧と言います)処置をして経過をみていきます。完全に閉塞して左脳の循環予備能力が落ちている場合はバイパス術という手段をとることがあります。また再開通して左頸動脈に狭窄が50%以上あれば頸動脈ステント術、内膜剥離術(CEA)の適応となるでしょう。

急性期に血行再建術をする施設もありますが、私は昇圧+ヘパリン持続静注で経過をみて血行動態が落ち着いてから次の手段を考えます。

2010年12月11日 (土)

健診で異常あり、治療は?

職員健診で胃内視鏡(GIF)、大腸ファイバー(CF)を希望したため、前日夜からセンナル(プルゼニド)3錠、ラキソベロン5mlを内服、朝から腹部エコー後に経口腸管洗浄剤 ニフラックを1L飲んだ直後でした。PHSが鳴り、「健診とは分かっているのですが近くの老人保健施設から意識障害、左片麻痺の方が来ますが受けていいですか?」と今日は休みなんですがとは言えません。受けた途端にトイレへ直行という羽目に、あうあうあ。

発症時間が特定され発症から1時間で到着、CTでは陳旧性脳梗塞だけで脳出血なし、痙攣なし、脈の左右差なし。採血後にラジカット点滴しながらMRIへ直行。心電図では心房細動もあり、心原性脳塞栓症は間違いなさそう。家族も来院されており冷や汗かきながら、、、説明。クリティカルパスに記入。tPA開始後、麻痺は改善している様子、残りのニフレック1Lを飲んでと。。。

咽頭反射が強い私に内視鏡施行医からプロポフォールを使いましょう、とお勧めあり、有難く頂戴したら眠っていました。終わってからCFの所見を読むと、肥満のため大腸の屈曲部分で通過困難ありという記載に目が留まりました。肥満とう言葉は患者さんに使ったことはあっても自分に使われているとは、、、、ショック! もっと衝撃的なのはGIF所見、胃から十二指腸にかけて潰瘍あり、ピロリ菌駆除を勧めるとのこと。研修医時代、ペニシリンショック、その後もペニシリン内服後の肝障害で悩まされた私にはペニシリン系が内服できないためマクロライド系の抗生剤と抗潰瘍剤しか飲めないんです。健診で見つけてもっらたのはよいが果てどうしよう? 

健診、ドックは本来病気をみつけることが主目的ではあるのですが、さて治療という時に悩むことがあります。脳ドックで未破裂脳動脈瘤が見つかったはいいが治療困難な場所にあった場合、患者さんに不安を煽るだけでうつ気分にさせてしまうことがあります。そういう私も、今日はそういう気持ちになるのでした。

2010年12月 9日 (木)

寝たきりの原因No1は脳卒中

前回は健康寿命についての話でした。その際、寝たきり原因のNo.1は脳卒中と書きました。ある整形外科医の方がデータを送ってくれましたので転載します。ありがとうございました。

寝たきりの原因ちょっと前のデータですが、
1.
脳卒中 40%
2. 老衰 20%
3. 骨折、転倒 10%
4. 認知症 10%
5. 関節炎、リウマチ 5%
6. 心臓病 5%
7. かぜ、肺炎 2.5%
健康寿命を損なう原因が上記のようです。。

三大死因の予防から、健康寿命の延伸の時代になっているようです。

2010年12月 8日 (水)

健康寿命75歳

平均寿命から介護(自立した生活ができない)を引いた数が健康寿命になります。2004年のWHO保健レポートでは、日本人の健康寿命は男性で72.3歳、女性で77.7歳、全体で75.0歳であり、世界第一位です。厚生労働省 総務課生活習慣対策室は平成22年度健康増進普及月間として下記の文章をHP上に掲載しており、ここでも健康寿命を伸ばすという表現を用いていますhttp://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kenkou_zoushin22.html

人口の高齢化及び疾病構造の変化を勘案すれば、疾病の早期発見や治療に留まることなく、生活習慣を改善して健康を増進し、生活習慣病等の発病を予防する「一次予防」に重点を置いた対策を強力に推進し、壮年期死亡の減少及び痴呆若しくは寝たきりにならない状態で生活できる期間である「健康寿命」の延伸を図っていくことが極めて重要となっている。

健康講座で「健康寿命」の話をしました。前勤務先で脳卒中の患者家族から73歳まで健康に暮らしてきたのに何故お父さんだけが脳卒中になるんですか?と聞かれたことがあります。私、こう説明しました。日本人男性の健康寿命は73歳、ここまでは健康に生きても半数の方は介護が必要になるという計算です。ですから癌になる確率より脳卒中になる確率は高く、介護の原因疾患で一番多いのが脳卒中です。心筋梗塞を1とすると脳梗塞はその4倍も患者数は多い訳で73歳男性脳梗塞、これは専門家からみると不思議ではない年齢なのですよ。

2010年12月 7日 (火)

公民館での健康講座 

本日10時から長崎県西彼杵郡長与町 長与公民館、高齢者学級で初めて健康講座で喋る機会をもらいました。脳卒中について10時から45分間理学療法士の岡 主任が話をして5分間、起立してもらいストレッチ体操。5分の休憩を挟んで10時55分から40分間脳卒中の話をしました。

今年、37歳グラウンドで発症し亡くなった読売巨人軍 木村拓也氏の衝撃ニュース映像(今年の脳ドック傾向として若年者の受診が多いのは木村コーチの影響でしょう)から始めてくも膜下出血、脳出血(iPad 画像転送の話 含め)、脳梗塞と一気に40分間喋り続けました。。

スライドには個人の写真、剖検写真も入れましたのでプリントでの配布はできませんでした、お詫び申し上げます。発表後にフロアから質問がありました。

1.降圧剤を内服しているが自宅で血圧が高い時はどうしたらいいのか?

10分間臥床再検してみてください、それでも高い時はメモにしてかかりつけ医に相談してみて下さい、と答えました。

2.若い頃に片頭痛発作、最近はないのだが大丈夫か?

年齢とともに血管の動脈硬化が進んでくると、つまり血管の伸び縮みが少なくなって片頭痛の頻度、程度が減ることはあるでしょう。

3.どうやったら痩せますか?

間食をやめて適度な運動、朝の散歩をすることをお勧めしましたが、自分で実践できていません、お恥ずかしい限りです。私が聞いてみたい質問ですw

事務部長に名刺を渡され、他地域の自治会でも講演して欲しいと依頼がありました。次回もリハビリと一緒にどこへでも参ります。本日はご静聴ありがとうございました。

2010年12月 3日 (金)

チーム医療【痰吸引】

今年、日本の医療で画期的な変化と自分の中で思っている案件と言えば理学療法士が痰の吸引が出来るようになったことも、その一つです。ただ、各都道府県知事宛に厚生労働省からのお達し 4/30/2010を読むと講習会を各県でやっている訳ではなく、各病院独自で講習をやってから許可してください、と解釈しています。

http://wwwhourei.mhlw.go.jp/hourei/doc/tsuchi/T100506G001...

アメリカでは意識がクリアな嚥下障害患者に看護師が痰の吸引、家族にも教えてやらせる、これは衝撃的でした。日本では呼吸療法師さえ、痰が吸引できない時代が今年3月まではありました。所定の講習を受ければ痰の吸引はリハビリの人間がやってもいい時代になったのは隔世の感があります。

全国各地の病院それぞれ独自にリハビリのスタッフに講習会を開いて痰の吸引はやらせていらっしゃるんでしょうか?4年前のネタで恐縮です。↓

http://blog.livedoor.jp/onizukam/archives/389211.html

厚生労働省の「チーム医療の推進に関する検討会」は最終的な報告書案「チーム医療推進について(案)」を取りまとめた。


http://www.mhlw.go.jp/shingi/2010/03/s0319-8.html
従来よりも高度な医療行為ができる新しい看護職種「特定看護師」の試験的な導入について認めた。同省では新年度から新たな有識者による検討を始め、試行を経て早ければ、3年をめどに法制化も検討する。報告書案には、保健師助産師看護師法(保助看法)にのっとったこれまでの看護師業務を拡大し、チーム医療を推進するキーパーソンとして医師の「包括的指示」の下、一定の医行為を行う「特定看護師」(仮称)を創設する。特定看護師の養成に必要な教育と評価のあり方、実際に想定される医行為の例なども示されている。
 リハビリテーションの関係職種については、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士に関する法律やガイドラインなどの解釈を明確化すべきとしている。理学療法士については、患者の姿勢を変えて痰をのど元まで移動させる「体位排痰法」を安全で適切に行うため、喀痰吸引は「当然に必要となる行為」とし、これを認める方向性が示された。また、作業療法士では、作業療法士法2条の「その他の作業を行わせること」の解釈を明確化し、発達障害や高次機能障害などへのリハビリテーションなど、チーム医療における専門性を発揮できるようにする。さらに、言語聴覚士では、嚥下訓練の際に喀痰吸引が必要となる場合があるため、現行法で可能な行為として明確化すべきとしている。同省は4月にも通知を出し合法化する。
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